
その日、信頼していた唯一の友人から言われた。
「あなた、違っていると思うよ。あなたのことがわからない」
ショック…。
人との最後の扉が閉じる音が聞こえた…ギー…パタン。
数か月前、海に飛び込んで自殺未遂をしたときのように、やさしく海鳴りの波音が聞こえた。
楽になりたい…もうダメ…
その時、死の扉がやさしく開いた。
部屋のガス栓をひねった。
枕元には、大好きな貝をならべ、眠りについた。
潮騒の波の音が甘く子守歌のように聞こえる。
何時間経ったのだろう…。
シュウシュウというガスの音と、強烈なガスのにおいで…、私は、目が覚めた。
考えられないことが起こった。
とっさに起き上がった私は、まずガス栓をしっかり閉め、部屋中の窓を全開にした。
私の本能と肉体は、それまでとは正反対に、自分が生きるための緊急措置を取る行動に出ていた。
テキパキと、的確で、ムダがない…
私のマインド(思考)は完全に止まり、ただただ自分の命を守る行動を取っていた。
自動的に動いている肉体を、まるで他人事のように見つめ、何でガス栓を止める行動をとっているのかすらわからなかった。
その一方で、私の本能と肉体は叫んでいた。
「生きたい。生きたい!!」
「生きて生きて、生きるんだ!!」
それは、爆発する太陽のようなエネルギー、身体の奥底にある命の炎の爆発のようだった。
すごい熱、すごいエネルギー!
今思うと、それは、自分が思っている自分ではなく、自分を越えている大きな力に突き動かされていた。
それは、人間の持つ生きる命の炎。
私は、大いなるものに生かされたと思った。
絵とビジョンの力
自死からの生還「命の叫び」6人展
2024年11月26日(火)~12月1日(日)