今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。

今回は、自己同一化(自己アイデンティティ)という観点から絵の変遷を探ってみよう。
50代女性の絵。
「系統的自由画法」を2回行ったケース。

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1回目の「系統的自由画」の3枚の絵の
共通点が見えたかな?

いずれも枠から描かれた概念の絵だね。
形にこだわることから、周りからよく思われたいと人に合わせる傾向が強いね。
彼女は、他者に合わせてうまくできることが、自分の自己アイデンティティと思っているみたいね。

だから、次のステップとして提案したのは、
「形ではなく、自分の中の心の叫びに焦点を合わせて描いてごらん」
「悲しみや怒りを感じながら、ムンクの叫びのように、心のシャドウをたたきつけて描いてごらん」

そして、次の絵が描かれる。

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ああ、ホントに「ムンクの叫び」を描いちゃった。
彼女曰く、「シャドウを描け、と言われても、どう描いていいかわからないが、ムンクの叫びと言われたので描きやすかった」とのこと。

まだ自分の心の悲しみや怒りに向き合っていないけど、パワフルな絵になった。
そして、白抜きの絵から色がついてきたね。
口の描き方から、叫びたいことや言いたいことがあったんだね。
我慢してきたこともたくさんあったね。

そして、再度、「系統的自由画法」を試み、
次の3枚の絵が描かれる。

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2回目の「系統的自由画」の3枚の絵は、しっかり色がついてきた。
そして、モチーフも中心に堂々と大きい。
自分を中心に置こうとする努力、すごいね。

でも、よく見ると、空飛ぶ鳥などのモチーフが多く、地に足がついてなくて、架空の夢を追いかけているように見える。
彼女は、ファンタジーや夢を持たないとやってこれなかったんだろうね。
その反面、鳥居は助けてサインでもあり、依存傾向を表すね。
彼女の自己アイデンティティは、自分の存在が感じられず、現実味が希薄だったかもしれないね。

だから、次のステップとして提案したのは、
「夢を追いかけるのではなく、地に足をつけ、自分を含め生活している場面を描いてごらん」
「自分で、自分の人生を作っている、今を描いてごらん」

そして、次の絵が描かれる。

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すごい!! 現実的な絵が現れたね。

地に足をつけた男の子、ちゃんと道に立っている。
でも、この絵の中で、一番強く濃くぬり重ねられているのは昇る太陽だね。
パワフルで、生き生きとしている!!

絵は、彼女の自己アイデンティティは太陽だ、と教えてくれている。
彼女は、自分を輝く太陽として中心にとらえられるといいね。
ガンバ!!  フレフレ!!

自己アイデンティティは、社会的な役割のペルソナや、心のシャドウに合わせがちだけど、それはダメだよ。
自己アイデンティティは、ユング心理学でいうセルフ(大いなる自己、あるがままの最高の状態)にするといいね。
セルフとして中心が定まると、何をしていても楽しくてしょうがなくなるよ。

この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。