今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。

男性の心の中にある理想の女性像を、ユングは「アニマ」と言った。
今回は、アニマについて話をするね。
絵は、50代、シングル、男性の絵。

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4 枚の絵の共通点が見えたかな?
すべてに女性が描かれ、彼にとってのアニマ像が伺えるね。
枠の絵から、女性に対して理想がある反面、現実的には、余白が多いことから空虚感があるかもしれないね。

顔の省略から対人緊張が見られ、酒類・アルコールの強調から逃避傾向も見えるね。
⾧い鼻は性的関心を表し、女性の手や腕の省略は、女性を受け入れることに抵抗があるかも…。

そこで、次のステップとして提案したのは、
「輪郭線から描くのではなく、自分と女性を自由に描いてごらん」
「楽しい気持ちで、色をつけ、モチーフも大きく、筆圧も強く描いてごらん」

そして、次の絵が描かれる。

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うぁ~、リアル!
初めて、生きている女性を描いたんだね。
でも、少し緊張ぎみだね。

「今までの中で、一番楽しく、集中して描けた」
「見ようとしなかったものを直視できたスッキリ感があった」と言う。

さらに、「自分の女性の絵はプロポーションもよく、彫刻のような外見。
きれいだけど、感情がまったく感じられない。
それが、自分でも不満だった…

今回、あえて女性の目の下にシャドウを描いた。
これは『自分の悪意』であり、これが、自分が他者に対して隠してきた感情」と言う。
「ぼくは、ずっと『本音を言うと相手が怒る、相手から嫌われる』と思って、他者の望むように行動してきた」
「今、ぼくは、これが本音を隠す正体だったと気づいた」と話す。

「ただただ周りの人たちのつながりや暖かい目がほしいがために、他者の望むように行動してきたが、この絵を見たとき、『好きなことを好きと言ってもいいし、自分を正直に表現しても、人は自分を嫌わない』ということが、やっとわかった」
そして、「本音を言う決意を新たにした」とうれしそうに彼は語ってくれた。

ここで、男性の中の女性の理想像(アニマ)に戻ってみよう。
大きく分けて、以下の4つのアニマのタイプがある。
第一は、何でも受け入れてくれる聖母マリアに象徴される聖母タイプ。
第二は、小悪魔的で、愛人にしたくなる娼婦タイプ。
第三は、家庭を守り、賢い妻に象徴される良妻賢母タイプ。
第四は、天使のように無邪気でかわいい童女タイプ。

彼の絵の中には、このすべてのアニマが見事に表現されている。
1 枚目は、口が小さく、黙っていて見守り、受け入れてくれる異国の聖母的なアニマ。
2 枚目は、子どもの成⾧を見守る良妻賢母のアニマ。
3 枚目は、裸婦でセクシャルな感じの娼婦的なアニマ。
4 枚目は、かわいい天使が飛び跳ねている童女的アニマ。

ただ、4枚の女性像とも白抜きで、本人も認めているようにパワーがないね。
現実的じゃないってことだね。
しかも、一番しっかり描かれているのはアルコール(笑)だから、女性からちょっと距離
を取っている彼がいるかもね。

そこで、最後に描いた向き合っている男女像を見てみよう。
左の女性は、感情(本人曰く「悪意」)を伴い、はっきりと力強く描かれている。
右の男性と比較しても、女性の方が自由だね。
その反面、男性はちょっと固くなっていて、偽悪的に見えるね。
圧倒的に彼の絵は、女性の方が美人で生き生きとしている。

彼の次のステップは、理想ではなく現実の女性をありのままに見て、受け入れること。
現実の女性は、理想のようにはいかないね。
美点もあれば、ずるさ、強さ、弱さ、したたかさ、といった性質も持っているね。
それらをありのままに受け止めるには、自分の中のシャドウを認めなければならない。
シャドウを統合することで、彼がもともと持っている強さとかっこよさが躍り出ること間違いなし。
ステキ!

この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。