今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
「みんなから愛されたい、わかってもらいたい、
認めてもらいたい」とは、誰しも思うことですね。
ですが、この会話、幼少期の体験からくる「もっと〇〇してほしい」というインナーチャイルドの言葉かも…。
今回は、求める愛と与える愛について見ていくよ。
絵は、50代女性の絵。



3枚の絵の共通点が見えたかな?
よ~く見ると、3枚とも、個と集団の分離があるね。
1枚目は、左下のウサギと木々に囲まれた子ども達。
2枚目は、真ん中の人物と動物たち(親子)。
3枚目は、釣りをしている人物と水鳥たち(親子)。
彼女の絵は、親子のテーマが多いね。
特に、1枚目のウサギから、幼少期一人ぼっちだったかもしれないね。
両親は小さな彼女を受け止めてくれたのかな?
どの絵も、花や動物や木々に囲まれ枠があるので、内向的で、自分を守るために防衛をしなくてはならなかったことが伺えるね。
また、太陽に手を上げ、親からの愛を欲していたり、親子連れの動物から、ずっと心の中で母を追い求めていたかもしれないね。
絵から一人で我慢したり、言いたいことも言えずにガンバってきた彼女のインナーチャイルドが見えるね。
そこで、次のステップとして提案したのは、
「もっと〇〇してほしい、というニーディーな要求に焦点をあわすのではなく、自由でのびのびと、どでかい自分を入れた絵を描いてごらん」
「心地よく、自分が楽しい感じをビジュアライズして、強く、太く描いてごらん」
そして、次の絵が描かれる。

わぁ~、大人になったよ!
しかも、ご主人登場!
腕を組んで、ラブラブだね♡
絵も、ぐ~~んと大きくなってる!
「いろんな色を使って何も考えずに花を描いたら、そのあと、思いがけず主人を描きたくなっちゃった」と彼女。
さらに、「この絵は、私の中にあるあたたかいものが出てくるきっかけになった」と言う。
「私の中に愛を見つけた」とうれしそう♡
大きな花は愛を表し、堂々と描いているね。
これは、自分の中に愛があることを認められた証。
母や他人に求めていた愛は、自分の中にあると気づいたとき、人は一気に大人になるね。
彼女の絵は、ずっと子どもの絵を描いていたのに、最後の絵は大人になっている。
依存から脱却して、内なるセルフの愛と結びつき、自立が起こったんだね。
ここで、求める愛(依存)から与える愛(自立)に転換する方法を紹介するね。
一つは、彼女のように、自分自身が愛であり、自分の中に愛があることを発見する方法。
視点を、インナーチャイルドから内なるセルフに大きく変えることで起こる。
もう一つは、幼少期の体験から、抑圧していた影の部分(シャドウ)を受容し、自ら表現していくという次のステップに進む方法。
これは、成長の階段を上るように、執着を一つづつ捨て、新たに生まれ変わるプロセスだよ。
彼女の場合は、幼少期孤立していて、甘えたり、認めてもらったことがなかったかもしれないね。
こうした思いは、成長しても心の中に残ってしまう。
最後に描いた絵の人の口に注目してみるとね、初めて、依存の口が出てきたね。
自分の目の前の花はブルーで、ホントはさみしそう。
また、ご主人の目の前の花は黄色とオレンジだから、ご主人にもっと甘えたり、認めてもらいたい正直な気持ちを伝えられるといいね。
ただ、ここで一つ注意!
自分の抑圧してきた部分を表現することは、グチを言ったり、怒りをぶつけることではないよ。
これは、違うよ。
その源にある「さみしかった」、「言えなかった」といった気持ちを正直に伝えるんだよ。
こうした気持ちを表現するのって勇気がいる場合があるね。
でも、この自分の本音や弱音を表現できるのが、本当の強さであり、大人であることだからね。
自分の感情、本音、弱音を表現すると、自己肯定感が高くなるよ。
なぜなら、自己肯定感は、何かを達成したことで高まるのではなく、自分の中にあるものを大切にでき、正直に行動に移せたときに高まるんだよ。
そして、やがては自分自身を信頼することにもつながっていくね。
与える愛についても、一つ注意ね。
愛は与えるものだと聞いて、何かを人のためにしてあげたり、プレゼントしたり、人の要求を先回りしてやってあげたり、親切にすることだと勘違いしないでね。
これは違うね。
自分の正直さを出すことだったね。
自分の正直さから、あるときは「それは違うよ」と言うことも必要だね。
ただし、相手の準備性を見てね。
大きな変容を成し遂げた彼女に一言。
よくやったね。
あなたは、まるごと愛だね。
これからは、第一に自分を愛するんだよ♡♡♡。
メデタシ、メデタシ!
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。