初めての母業
子育てをするって、大変だね。
24時間の奉仕活動に似ているね。
子どもは夜泣きするし…
すぐ、病気するし…
私は、結婚を機に、専業主婦になったんだけど、
初めての子育てはハラハラどきどき…
まったく孤立状態で、不安なことばかりだったな。
特に、長女は喘息で、明け方、呼吸困難になるくらい咳き込んだよ。
そのたび、救急で病院に連れていくんだ。
咳のため横になって寝ることもできず、よく一晩中抱っこしていたなぁ。
口ぐせは、「吸入、吸入」
吸入すると、少しは呼吸が楽になるのね。
眠れない夜は、よく長女にお話をしたよ。
彼女はイギリスのマザーグースの絵本が大好きで、
何度も何度も読んでやった。
中でも、彼女が好きだったフレーズがあるんだ。
それはね…
「遠くの、遠くの北の国、ロバが苦しいせきしてる」
長女はね、咳をしながら言うんだよ。
「ロバも苦しいんだね」って…
泣けてきちゃうね…
だけど、それだけじゃない。
嫁いだ先は、八百屋さん!
毎日15人分の食事を作るんだ。
しかも、商家は「早メシ、早クソ、芸のうち」
急かされているようで、ゆっくりするひまもなかった。
小さな自分のアパートに帰ると、もう何もしたくなくてくたくた。
その場にへたり込んで動けなくなる日が続いた…
そのころ描いた絵がコレ!
目だけが真っ赤に塗られていて、まわりは真っ青な自画像。
不安やうつ、焦燥感ややる気のなさが伺えるね。
私の中で、子育てと家庭だけの生活に閉塞感を感じはじめ、ふつふつと仕事に戻りたい気持ちが出はじめたんだ。