今回も、アートセラピー•テクニックの中で一番メジャーな「風景構成法」を紹介するね。

幼少期の家族と現在の家族、それに苦手な人を「風景構成法」のモチーフに当てはめてみる、というワークがある。
今回は、ユングがとらえるタイプ論の中の外向型と内向型に焦点を合わせ、家族の内向と外向について考えてみよう。

今回の作品は、60代女性の「風景構成法」。 
様々な職種にチャレンジし、向上心が高く、彼女は外向型のように見える。
右下にいる、横を向いて立つ女性が本人。
顔がないのが気になるね。
では、彼女の絵を紹介するね。

Screenshot

まず、彼女が幼少期の頃の家族のモチーフは以下の通りです。 

本人→右下の横向き女性
父→左上の黄色い小さい家
母→小さい家の前の田んぼ
弟→中央上部の灰色の鳥

本人が川をはさんで手前の岸に一人でいるのに対し、父母弟の3人は川をはさんで反対側にいる。
幼少期、彼女は家族と距離があったんだね❤️
ちょっと寂しいね❤️

そして、彼女の現在の家族のモチーフは以下の通りです。

本人→ 右下の横向き女性
夫→右下の女性の前の石
長女→中央上部の灰色の鳥
次女→ 中央上部の茶色の鹿
苦手な人→右下の女性の前の石

本人と次女が川をはさんで手前の同じ岸にいるので、本人は長女より次女に親和性を感じているよう。絵の中では、自分の近くにいる人が近しい人という見方があるからね。
また、夫と苦手な人は同じ石のモチーフで、本人の目の前に置かれ、夫と苦手な人の性格傾向が似ていることが伺える。

彼女が幼少期の時、お母さんは働き者だったようだね。 
打ちつけるような稲の田んぼの描き方から、厳しかったことが伺える。
おそらく、お母さんはガンバリ屋で活発で行動派。
つまり、外向型の人だね。

彼女曰く、
「母のようにガンバらなければいけない。そうでなければ、認められない。のんびりしているのは、怠けているように思われてしまう。
親に好かれるためには、親の機嫌を損なわないように行動しなければならない」
「幼少期、ガンバれない自分はダメと自己否定にも走った…」とのこと。

現在の家族の性格傾向について、本人が言うには、
「⾧女は、大らかで慎重なんです。でもがんこで自己肯定感が低いし、ちょっと不器用です」
「次女は、怒ったり感情的で 涙もろかったりするんです。でも 自己主張がきちんとできるんです。現在、海外在住で、やり手なんです」とのこと。

つまり、⾧女は内向型に属し、次女は外向型に属しているね。
そして、彼女本人は、絵から、田の領域が多いガンバリ屋さんであり、絵の上部にモチーフが多いことから夢ややりたいことを持ち、一生懸命生きていることがわかる。
彼女もやはり外向型だね。

だけど、今度は絵の中の右下四分の一に注目!
顔のない本人像は、人の顔を正視したり、直面できないところもあるかも…。
また、右画面から切れて右欠損の大きな木は、人に頼りたい願望のようでもあり、木の下の大きな家は、彼女の心象風景を表し、寂しそうな壁、ドアは正直な表現を拒んでいるよう、また、屋根はストレスカラーで苦しそうに見える。
つまり、絵は彼女の本音を言えない内向型の別の側面を表しているよう。シンドイね❤️

ここで、ユングの外向型と内向型について説明するね。 
外向型とは、関心や興味が外界の事柄や人に向けられるタイプで、内向型は、その逆に、関心や興味が内界の主観的な要因に向いているタイプのこと。

外向型は積極的に外に表現しようするので、親や教師や文化的に、それを好ましいとする傾向がある。
また、内向型は心の確信を深く奥底に持っており、時間とともに徐々に自分の世界を広げて立ち上がってくる可能性を秘めている と、河合隼雄著の『ユング心理学入門』には書かれている。

もしかしたら、彼女の場合も、外向型側面は、お母さんからの影響で身につけたのかもしれないね。 
誰しも親や教師に影響を受けない人はいないけれど、両親から教えこまれたものは、「本当のあなた自身ではない」、という視点を持つ必要がある。
これは、とっても大事なことだね❤️

彼女はまず、自分の中にある内向的側面を認めてあげられるといいね。 
今は、その側面がシャドウになっているかも…。
つまり、内向的な自分が好きではないかもしれないね。
でも、内向型の部分を受け入れると、自分の心の確信に触れられるかも…。
それが、もともとある自己肯定感だよ。
心の根源に行きつけたら、⿁に金棒だね❤️

では、次に、彼女が2か月後に描いた「風景構成法」を紹介するね。
2枚目の絵の赤い橋のたもとに、障害の石が描かれているんだよ。
石に注目して絵を見てね。

Screenshot

1枚目の絵では、本人の目の前が障害の石だったね。
石は障害として捉えるので、新しいことに乗り出そうとするとき、躊躇や不安を感じることが多いのでは?
次のステップに行くためには、この心の抵抗を取り除かなくてはならないね。
なぜ石が、何かをしようとする時、立ちはだかるのか?
それは、幼少期に親からの否定によって、自分らしい表現がブロックされた心のメカニズムを理解しなくてはならないね。
そして、大人として橋を渡るんだよ❤️
ただ考えずにやることをやってね❤️
 
ちなみに、1枚目の「風景構成法」の本人の前の石は、夫とのこと。
それに、苦手な人も石、とのこと。
石は障害を表すので…
このことを知った時、彼女は「バレちゃった!」と思わず苦笑!
とても、かわいい人だと思ったよ。

最後に、加藤からひと言。
親や教師や世間から言われて身についたものを捨てるとね、とっても自由になる。
本当の自分になるために、内側に入って、自分が確信したものを外側に表現していくんだよ。
そこには、内向と外向も越えたあるがままの自分があるね。ステキ❤️

「風景構成法」は、 精神科医 中井久夫先生の開発したアートセラピー・テクニック。
箱庭療法の平面版と言われている。
正式な教示は、 本来黒のサインペンとクーピーで行う。
ただし今回はクレパスで描いており、正式なやり方ではないことをお断りしておきます。

系統的自由画法とは
系統的自由画法とは、継続的に自由画を描いていきます。
作品が4〜5枚になったら、セラピストが描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、
本来の 自分に戻る方法や次のステップを教えてくれます。
絵を通して変容を起こすことができる 画期的なアートセラピー・テクニックです。