今回も、アートセラピー・テクニックの中で一番メジャーな「風景構成法」を紹介するね。
「風景構成法」は、自分の心の中が丸裸にされちゃうので、ちょっといやだね。

絵の中で「ちょっと気になる」、「普通はこんなの描かないよ」というモチーフがある場合は、そこが注目点なんだ。
クライアントの問題がばっちり出ちゃう…。

今回は、そんな作品を紹介するね!
40代女性の絵。
注目点は、右下の森。
これは、「魔女の森」で、空を舞っている3匹のコウモリは、「魔女の手下」なんだって…。

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セラピーやカウンセリングを行っていくとき、インテーク面接(最初の面接のこと)で必ず主訴(問題や悩みごと)を聞く。
 
彼女の主訴は、「なぜか、私は悲観的なとらえ方をし、悲しい結末につなげる考え方をしてしまう。
なぜ、自己肯定感がこんなにも低いのか、どうしても自分を好きになれない。
自分を好きになり、自分を信じてあげるにはどうしたらよいのでしょうか?」

セラピーを進めていく中で、「風景構成法」のモチーフの一つ一つを、幼少期の家族や今の家族、苦手な人に当てはめていくというワークを行ったよ。
彼女が選んだモチーフは次の通り。

自分 → 中央にいる赤い服の女の子
父 → 右上の川の中の魚
母 → 右下の魔女の森
姉 → 中央の赤い橋
兄 → 左上の空飛ぶカラス

絵からわかるのは、家族はバラバラ。 
お姉ちゃんが、家族の調整役(架け橋)だったみたいね。

彼女が言うには 「私が何より驚いたのは、『母が魔女』ということなんです。
インテーク面接で、幼少期苦手だ言っていた父は間違っていました。
本当は、「母が苦手で、母が魔女だったんです!!
絵ってすごいね。
絵の方が正直だね。
びっくりです!!」

母のことを聞いていくと、「私の母は厳しく、また、人の悪口をよくしゃべり、父とは不仲で、いつも不満たらたら。
一方的に、毎日のように父をバカにするんです。
また、母はプライドが高く、お高くとまっている感じでした」とのこと。

「小さい時、兄との喧嘩で兄に背中をなぐられ、母に訴えたところ、『あんたがなまいきだからでしょ!!』と、母は兄をかばい、私を見てくれなかったんです…。
『母は、私を嫌いなんだ』と、心の中で秘かに思っていました。
今まで、家族からほめてもらったことはなく、むしろ否定的な言葉を繰り返し繰り返し言われ、一人ぼっちで、人に頼れない、一人で生きていく、というとらえ方を心の底で決めてしまったようです」と。
 
「苦手な人についてもびっくりだったんです。 
彼の性格は支配的で、飼い犬のように人を従わせたい人、マウントを取りたがる人で、母にそっくり。 
そして、何と苦手な人の絵のモチーフは、『魔女の森のコウモリ』あまりにもピッタリで笑っちゃいました!
母への無意識の苦手感が、今の人間関係にも通じている!」と。
絵ってすごいね!

「家族療法」のとらえ方で、「家族力動」という概念があり、それは家族の力関係という意味なんです。
力関係というとらえ方から、家族の中で一人、問題の人を作ることで、家族全体がまとまる、ということもあるのです。
彼女に投げかけられた否定的な言葉は、継続的に行われていたようなので、彼女自身が犠牲者となっていた可能性もあるかもしれないね。

彼女の悲観的で、悲しい結末につなげる傾向は、幼少期、親からの加護や豊かな愛情の囲いがなく、信頼関係が作られず、一人ぼっちだったことから来ているね。

つまり、幼少期のトラウマから、「人は怖いもの、人からは嫌われる、人は否定的な表現をするもの」と信じてしまい、大人になった今も、子供時代のインナーチャイルドの考え方に固執していることの問題だね。

でも、人生は変えることができるよ!
「自分を信じて、たまには人に頼って、みんなと共に生きていくためにはどうしたらよいか?」を考えようね。
心をオープンにして、行動し始めてみよう。

次に紹介するのは、彼女が2ヶ月後に描いた「風景構成法」だよ。

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人に迎合して生きていく生き方もあるけど、あなたは、2回目に描いた「風景構成法」の右下のお山の大将になれるよ。
なぜなら山の上の男性性(行動、獲得、表現)とライオンの出現は、強いしなやかなあなたの誕生だからだよ。
それに、右上には、目標の太陽の出現。
あなたには夢(使命)があったね。
「世界は一つ、助け合える社会をつくりたい」
すごいね!

1枚目と2枚目の「風景構成法」の絵の変化から、彼女の心の成長が見えるね。
自己防衛と、家族への被害者意識から脱却したんだね。
それにもうあなたは、幼少期の子供ではない。
大人の観点から、もう一度人生を生き直し始めたんだね。

加藤から、あなたへの一言。
人は問題があれば、それを乗り越え強くなる。
だからあなたも強くなるよ。
そして、あなたの絵には、モチーフがたくさんあるでしょう?
それは、情熱と意志と夢を持っているということ。
また、田んぼでまじめに働いている。
つまり、行動力もバッチリだね。
だから大丈夫!

今度は、否定的なファンタジーをふくらませるのではなく、あなたが幸せになるための夢を描いて、それを着実に行動にうつしていこうね。
できるよ! あなたならできるよ!
あなたが歩くそばから道ができていくんだよ。
それを信じてね❤️

「風景構成法」は、 精神科医 中井久夫先生の開発したアートセラピー・テクニック。
箱庭療法の平面版と言われている。
正式な教示は、 本来黒のサインペンとクーピーで行う。
ただし今回はクレパスで描いており、正式なやり方ではないことをお断りしておきます。

系統的自由画法とは
系統的自由画法とは、継続的に自由画を描いていきます。
作品が4〜5枚になったら、セラピストが描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、
本来の 自分に戻る方法や次のステップを教えてくれます。
絵を通して変容を起こすことができる 画期的なアートセラピー・テクニックです。