今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
怒りのほこ先を人や環境、周りの状況にぶつける人が外罰、怒りのほこ先を自分に向ける人が内罰だね。
「私が悪い、私がダメだから…」など、自分を攻めるくせがある人がいるよね。
今回は、怒りからの脱出第2弾として、内罰傾向がある人の怒りからの脱出法を見ていくね。
絵は、40代女性の絵。




4枚の絵の共通点が見えたかな?
一見、穏やかで、透明感がある絵のように見え
るね。でも、アートセラピー的にみると…。
青と黄の色の組み合わせから 抑うつ傾向が、6月の梅雨、夏の海、秋の果物などの季節性のテーマから、人目を気にし、表面的に振る舞う傾向が見えるね。
前回取り上げた絵は、火山や、歯をむき出しに
した動物や鬼などで外罰傾向なのと反対に、今回の絵では、雨、海、シャボン玉等の水のモチーフが多く、前面に寂しさや悲しさの感情が優位の内罰傾向であることが伺えるね。
そして、もっとも特徴的なのは、果物につけられた濃厚な影!
影は心の影を表し、人には見せない、表現することができない部分を抱えていそう。
特に、寂しさや悲しさの反対である怒りや攻撃性はシャドウとして抑圧されている可能性があるね。
そこで、次のステップとして提案したのは、
「自分の心の中にある汚いものを絵にたたきつけてごらん」
「形を描くのではなく、早いタッチで、線でなぐり描いてごらん」
そして、次の絵が描かれる。

すっげー!!おったまげた!!
ストレス発散のカタルシス・アートの出現。
「ぐちゃぐちゃに色を塗って、何も考えずに描いたわ」
「自分の中の怒り、攻撃性です」と彼女。
カタルシス・アートは、描くことでエネルギーを発散する心の浄化作用の絵。
怒りはエネルギーなので、怒りとともに絵を描くだけで怒りがなくなり、その結果、視点や世界が違って見えてくるんだ。
ただし、セラピストによる指導が必要だよ。
「これを描けて、絵の不思議さと絵の力をまざまざと見せつけられた!」と彼女。
また、彼女はこうも言ったよ。
「タガが外れた感じで、この絵が一番好きで、美しく見えます!」
「…この絵は美しい⁇」って、不思議でしょ?
自分が嫌ってフタをしていた「怒りや攻撃性」
の存在を認め、向き合うことができたんだね。
自分の絵を見て、自分のことを知ることができる、絵のフィードバック機能のおかげだね。
だから、最後に彼女は、こう言った。
「自分の中にあるすべてにOK!」
そして、「怒りや攻撃性は表現してはいけないものと思ってきたけど、これからは表現していこうと思います」と。
ただ、ここで一つ注意!
表現するのは、怒りではなく、自分の正直さや素直な気持ちだよ!
内罰の人は「自分が悪い」と思って、周りに合わせる傾向が強いからね。
前回、怒りは人にぶつけないと言ったけど、決して自分にも向けないでね。
ここで、怒り(内罰)からの脱出法について紹介するね。
- 自分を攻めたり、自分のダメなところに焦点をあてていることに気づいたらストップする。
- 自分の中のネガティブさをピックアップし、そこに集中することをやめる。
- 自分の持っている良いところやポジティブな性格などに焦点をあて、その資質を持っていることに満足し、喜ぶ。
- 習慣的反応パターン以外の選択肢から、自分にとってベストな選択をする。
- 自分の正直な感情や自己主張を選択し、表現をする努力をする。
内罰傾向の人は、自分が怒ったり、自己主張できない分、他者からの怒りや攻撃性を引き寄せやすいので、この点も注意するといいね。
よ~く自分が持っている抑圧を理解してみると、このメカニズムがわかるよ。
彼女の場合は、自分の思いや訴えを表現しても認めてもらえなかったことによる怒りの抑圧。
また、親が感情的だと「あぁならないように」と思い、感情の抑圧が起こるね。
だから、これからは、正直な自己主張や感情表現を心がけてね。
間違ってもいいから、「私はこう思うけど…」って言ってみるんだよ。
彼女は、確実に次のステップを踏みだしたね。
メデタシ、メデタシ!
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。