今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
母親業をしていると、ついつい子どもを怒鳴りつけたり、怒ったりしてしまうことがあるでしょ?
今回の絵は、30代子育て中の母の絵。
怒りからの脱出の方法について見ていくよ。




4枚の絵の共通点が見えたかな?
赤と黒の組み合わせ、火山の爆発、吠える動物、鬼、炎等から怒りがあることが見えるね。
不満があって、爆発しやすいところもあるかな?
筆圧も強く、モチーフの大きさ等から自己主張も強そうだね。
その一方で、幾重にも枠を重ねる描き方、極端に弱い筆圧、青と黄の組み合わせ、湖、羊水、鬼の涙等、怒りとは正反対の 寂しさ、悲しさの感情表現が同じ画面に描かれている。
そこで、次のステップとして提案したのは、
「怒りではなく、心のやすらぎを感じて絵を描いてごらん」
「深く呼吸をして、心の底から表れてくるものを描いてごらん」
そして、次の絵が描かれる。

きよらかな水から生まれた美しい、そして力強いひとつの花。
それを彼女の手がやさしく守っている。
なんと、きれいな絵なんだろう!!
「描きながら、だんだん力が抜けていったの。
心のオアシスみたい!」
「そうか、この感じでいいんだ。」
「お花をひとつ、自分の中に大事に持っていればいいんだ!!」と、本人は喜んで話す。
「私、怒らないようにしようと思っても、子供に怒りをぶつけてしまっていたの。」
「本当に自由じゃないの。」
「でも、今回 大発見!やっと答えが見つかったわ。」と、自分の気づきに満足気。
では、怒りからの脱出法について、いくつか紹介するね。
まず、1番は、怒りの感情を認め、そこから離れ、どうするか自分に聞き、怒り以外の選択肢を取る。
彼女の場合は、ティータイムを取る、だったり、やさしく私はこう思っていると理性的に伝えることだったり、子どもにやらせるのではなく、自分がやればよいのだ、などなど。
怒りからの脱出方法の2番は、内なる安心できる大いなる自己(オアシス)を思い出し、感情をリセットすること。
決して怒りを他者に向けないでね。
3番は、自分のやり方や正論を他者に押しつけるのではなく、自分自身の怒りの正体を眺め、理解すること。
もしかしたら、 自分の理想像を人に投影していたり、 背負わなくていい責任を、 背負っていたりするかも…。
彼女の場合は、絵に表れた怒りとは正反対の寂しさや悲しさがポイントだね。
鬼の涙の絵にあるように、どれだけ我慢してきただろう。
我慢の奥には、内向的な自分を認めてもらえなかったことに対する怒りがあるかもね。
だから、怒りと同時に承認欲求や一人ぼっちの寂しさなど内向的な部分も受け入れて、
統合することができるといいね。
そして、まさに、5枚目の絵は、自然な水の中から花が生まれている。
内向的な自分やありのままの自分を認め、受け止めてあげること。
そこから新しい花が咲くんだね。
心の統合に向けて、新たなトライを始めた
彼女に、ガンバ!! フレフレ!!
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。