今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。

人は無意識だと、自分の才能や能力を小さく見積もってしまう傾向があります。 今回は、そうした描き手の秘められた、まだ使われていない潜在能力や才能に焦点をあて、紹介します。

今回の絵は、20代男性の絵。

Screenshot



絵から分析すると、 怒っていて(赤と黒の組み合わせ)、 人目を気にしたり(たくさんの眼球)、 感情の抑圧と石化(石像)、 ストレスがあり(黄と黒の組み合わせ)、 欲求不満(食事を山ほどとる人) があると、見ることができる。
また、多くの絵には、幻想的、ファンタジスティックで架空の世界が 描かれており、自らが作り上げた幻想を強く信じていることが伺える。

ここで彼の描いた絵の印象について話すね。
彼の絵は頭で考えて描いたのではなく、本能的に描かざるをえなくて描かれたように思う。
ここまで正直に自分の心を吐露する絵に出会うことは少ない。
また、ここまで正直な絵を描けるということは、もう必要なくなった否定的な自己像をぶち壊し、新たな潜在能力が出てくる可能性の反転がある ということでもあるんだ。

そこで、次のステップとして提案したのは、「形にこだわらず、何でもできる自由さを イメージして、楽しく描いてごらん」 「やさしく、暖かい色で描いてごらん」
そして、次の絵が描かれる。

「こんなに自由に描いていいんだ」 「とらわれがなければ、相手の目に おびえる必要もないし、 自由になれるんだね!!」と本人。 すごく、うれしそう♡♡

リズミカルで、あったかくて、やさしい絵。
そして、やわらかく、自由だ。 彼の感じていた不安や人への恐れ、 やりたいことを我慢している不満等は、彼自身の強迫観念にも似たこだわりだとわかった時、人とフランクに話せる未来が浮かんだんだね。

自分の不安、恐れ、欲望をまる裸にして表現すると、反転が起こる。次には、彼がもともと持っていた強い自己肯定感や自信から、実際、他者をありのままに見、正直に人に伝えられるようになったんだよ。  

彼の秘められている才能、能力は、絵の反転からも見ることができる。 水はエネルギーを表す。
蛇口から水が勢いよく流れだしたとき、 パワーと感情の爆発が起こるだろう。 それは、愛のパワーなんだね。
つるされた眼球からは、 見られるから、見るにシフトする。そして視点が変わると共に、絵の中の本に象徴される知恵と、表現者としてのパワーも出てくる。
色も、パワフルな赤に変わる可能性が高い。
石像群からは、豊かな感情と共に、創造性、行動力が、次に現れる。 また、食事をとる人の絵から、「もっと、もっと」というハングリーさと意欲、挑戦力も現れてくる。

すごいね!! 描かざるをえないものに素直に従う、というプロセスを通してのみ反転は起こる。
そして、次に潜在能力の開花がおこる。
彼の、新たなステージにカンパイ!!

この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。