今日、紹介するのは系統的自由画法!
系統的自由画法では、自由画を継続的に描いていきます。
毎回、心に浮かんだものに焦点を当て、自由に絵にします。
作品が4~5枚になったら、セラピストが、描き手の傾向をまとめ、次のステップを提案します。
今回の絵は、50代女性の絵。





5枚の絵の共通点が見えたかな?
まず一番に、モチーフとモチーフの間に空間(距離)がある。
それは、他人との距離があるということ。
二番目に、明るいカラーと茶色の色彩の二極化がある。
これは、対外的によく思われたい明るい自分と、内側には自分を出せず、隠し守る自分がいるね。
それは、自分の分裂がある、ということ。
三番目は絵の内容。
都会から離れた大自然、過去のエジプト、ファンタジーのお菓子の家など、現実離れしているものが多い。
彼女は、今ではなく、過去やファンタジーに生きているように見えるね。
四番目は、欲望だよ。
権力欲(エジプト)、名誉欲(王冠)、物欲(宝石)、食欲(お菓子の家)がストレートに描かれているね。
彼女の抑圧している欲の集まりのようだね。
次のステップとして提案したのは、
「今、ここでの『正直な自分』を激しいタッチで、クレパスをたくさん持って描いてごらん」
「自分の心の欲望丸出しで、描いてごらん」
そして、次の絵が描かれる。

何とパワフルで、何と情熱的な絵なんだろう。
激しさとエネルギーに満ちている。
彼女の抑圧された影(シャドウ)のエネルギーに圧倒!!
「気持ちよかった~。初めてこんなの描けた」と本人。
とてもうれしそう。
少しして、
「私、ウソをつけなくなったの」
「直感を信じ、ストレートに表現することができるようになった」
と言う。
彼女は、抑圧された心の影の部分を解放して、すっきりしたんだね。
本当によかった!
すごいね!!
内なる影(シャドウ)を統合したんだね。
この技法は、いつも本人が無意識にとっている習慣や行動のパターンから脱却し、本来の自分や次のステップを教えてくれるんだよ。
絵を通して変容を起こすことができる、画期的なアートセラピー・テクニックなんだ。